三日月レモンのちょこっとエッセイ

絵や絵本を描いて暮らしています。日々の思い、感じたこと、体験したこと、過去のこと、そんな何気ないことを書き綴っていきます。

楽しい仕事に罪悪感を感じていたころ キャスト時代⑥

 ブログ生活13日目

 

一昨日の「キャスト時代その5」で、マクダックスデパートメントストアでの仕事をスタートしたという記事を書いた。シーでの配属先はこのメインのマクダックスと、対面にあるスチームボートミッキー、そしてゲームワゴンの3つである。今日はその2つ目の配属先のスチームボートミッキーでの出来事を書いていこうと思う。

 

 

マクダックスの仕事を一通り覚えると、今度はスチームボートミッキーへ移動した。

規模は小さいがここはペンダントに名前を入れるサービスをやっているお店だったので、わりとお客様は途切れることなく来店していた。

ここでは品出しや商品整理や接客はしなかった。

ペンダントの名前を入れる裏方の業務と、ペンダント専用の受付業務のみを教えられた。

 

どうやってペンダントに名前を入れているかや、裏方の仕事の詳細なことは話すことは例の「秘密保持」の規定によりできないが、わたしは説明を受けながら「だ、大丈夫かな」と不安だった…とだけ書いておこう。

一通り先輩トレーナーさんからやり方を教わり、手始めに何個か作らせてくれた。

そしていよいよ本当にお客様の注文分をやらせていただいた。

何度も確認し、先輩にオッケイを頂き、完成した注文分を入れておく箱にしまった。

初めは緊張していたが、慣れてくるとどんどんさばけるようになり

「これすごく楽しい!」と思い始めていた。

 

そうなのだ。

結果的に私はこの短期のアルバイト業務で、このスチームボートミッキーのアクセサリー作りが一番楽しかったのだ。

・自分のペースで黙々とできる

・一つのことに集中して作業ができる

今となって考えれば自分の適性に気づけるチャンスの瞬間だったのかもしれない。

 

 

だけどあの頃は自分に何が向いているかとか、自分にとって楽しくて幸なことは何か、なんて考えたこともなかったように思う。

嫌と思っていても働かなければならない、苦痛に感じていてもお金のためにはこれが当たり前なんだと信じて疑わなかった。

 

自分の好きなこととか、やりたいことは仕事にしちゃだめ・・・

そんな風に思っていたから、スチームボートミッキーでアクセサリーを作っている時は一番楽しくて大好きな時間だったけど、それと同じくらい「楽をしているような自分」に思えて嫌悪感を感じていた。

 

辛いことをしているほうが、「働いているんだ!」って気になったり、「私、頑張っている!」と思えたが、その分精神が悲鳴を上げていることに私は結局30歳を迎える直前まで気づかなかった。

 

 

後の話になるのだが、私はかつてこういう考えを持っていたため、全く自分に合っていない仕事を選択したことがあった。

ただ体裁と、給料と、この仕事だったら友達や家族にも恥ずかしくないよね、という理由だけで。

自分の感情や意思を聞くことなく、こうしなければならないんだ、みんなこうやって働いているんだと思って、誰も得にならない選択をした。

・・・結果、ある日の朝、立てなくなってしまったのだ。

 

仕事に行かなければならないのにどうしても行けないのである。

そして勝手に涙がぽろぽろ出てくるばかりで、こりゃどうしたものかと本当に驚いた。

普段は何も考えなくても歩いたりできる体なのに、どうやたって立てないのだ。

そして母が心配して部屋にやってきてくれたとき、私は涙をぼろぼろこぼしながら「私・・・行きたくない・・・」と考える間もなく言葉が口から飛び出したのだった。

 

すると母は私を責めるでも、情けないとため息を漏らすでもなく

「あなたに向いてないと思っていたのよ」と言ってくれた。

私はその時、まともな仕事にすらつけないと責めていた自分が許されたかのような気持になって、まるで何かの栓を抜いたようにずっとずっと泣き続けた。

 

スチームボートミッキーのアクセサリー作りの仕事で味わった楽しみや、ワクワクした気持ちをもっと素直に気付けていられたら遠回りなんてしなかったのかもしれない。

けれど巡り巡っていろいろなことに気が付けたから今の自分があると思うと、本当に無駄なことなど一つもないんだなと心から思う。

 

 

今日のお話はここまで。明日はいよいよ3つ目の配属先、ゲームワゴンのお話しです。今日も読んでくれてありがとうございます!

おやすみなさい!