三日月レモンのちょこっとエッセイ

絵や絵本を描いて暮らしています。日々の思い、感じたこと、体験したこと、過去のこと、そんな何気ないことを書き綴っていきます。

クリスマスイブに絵の悪徳商法にあった話

 ブログ生活18日目

 

今年も残すところ1か月半を切り、街並みもだんたんとクリスマスムードに変わってきた。

クリスマスが近づくとどうしても思い出してしまう苦い思い出がある。

あれは20歳頃だったか、タイトルにもあるようにクリスマスイブに絵の悪徳商法にあたってしまったことだ。

 

その日仕事が休みだった私は、かわいいクリスマスグッズや洋服を見にショッピングに出かけた。

街はイルミネーションやクリスマスの装いで華やかに彩られ、軽快なクリスマスソングや行き交う人々の笑顔で私の心はさらに楽しい気分になっていた。

夜には家族でクリスマスパーティー(チキンとケーキを食べるだけだが)をするという楽しみを控えていると思うと、今はそれを待つ楽しみとお買い物ができる喜びでより一層心は弾んだ。

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可愛い雑貨と気に入った洋服も買い、1人機嫌よくルンルン気分で帰ろうと駅に向かっていた時、前方で何かを配っている人がいた。

ティッシュ配りの人か」と大して気にも留めずにそのまま歩いていくと、私の前にも「よかったらどうぞ」と差し出された。

ふと視線を落とすととてもきれいな絵のポストカードだった。

「わ、きれい!」と思い、私は思わず受け取った。

これがいけなかった。

 

するとその兄さんは「絵に興味がおありですか?」と実に爽やかに話しかけてきた。

私は何の警戒も持たずに「はい、描くのも見るのも好きです」と答えてしまった。

これもいけなかった。

 

すると兄さんは「よかったら今このギャラリーで絵を展示してまして無料で自由に見られますので、お時間よろしかったらどうぞ~」となんともかるーい感じで言ってきた。

かるーい感じとは何も「来ちゃえばいいじゃーん」みたいな「適当」とか「馴れ馴れしく」という意味ではなく、「寄っても寄らなくてもいいですよ、強制はしませんよ~あなたがよかったらどうぞ~」というような感じである。

 

クリスマスのワクワクした気持ちが仇になろうとはこの時点ではまだ気が付いていなかった私は、機嫌がよかったのも相まって「素敵な絵でも見て帰るか」とそのギャラリーに足を踏み入れてしまった。

店の中は照明を落としてあり、壁に掛けられた絵にスポットが当たっていた。

2人ほどのお客さんが別々の絵の前でお店の人と椅子に座って話し込んでいた。

「変なギャラリーだな」と思った。

 

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それから背後にスタッフの気配を感じながらもきれいな絵を見て回った。

10点か15点ほどの絵を観終わった後、背後のスタッフがすかさず私に話しかけてきた。

 

「お客様はどの絵が一番気に入りましたか?」

特に気に入ったといえるほどの絵はなかったが、しいて言うならこの絵かなと思った絵を指さして「これです」と答えた。

スタッフがずっとついて回るのも、話しかけてくるのも何となく変だなと思い、少し疑いを持ち始めた頃だった。

 

するとそスタッフの男性は「いや~女性でこの絵を選ぶとは!とても珍しいですね!何か絵のご経験がおありなんですか?」とお目が高い!と言わんばかりにぺらぺらとやたら褒めちぎってきたのである。

私はあまのじゃくの性格なのかやたら褒められると引いてしまう性格なのだ。

嘘くさく感じてしまう。

もっともこの時は、この絵がいいと指さしただけでなんでそんなに褒められるのかという状況も不自然過ぎたからなのだが、この時点で私の疑いレベルは一気に90%に達した。

 

するとそのスタッフはすぐさま椅子を二つ持ってきて私がいいと言った絵の前に並べて「どうぞ」と座るように促してきた。

 それから間髪入れずにマシンガントークが始まり、ついには絵の値段をチラつかせ始めてきた。

 

私の頭の中はどう逃げ出すかでいっぱいになっていた。

しかし男は寸分の隙間も与えてくれずにしゃべり続ける。

確かその絵は30万だとか言っていた気がする。

 

「30万だろうが1000円だろうが私は絶対に買わないんだよ、あー、何とかしてこの店出ないとなー、さっきまで幸せだったのに~なんでこんな悪徳商法に捕まってるんだろ・・・とほほ・・・」

 

その時「そうだ!この手で行こう!」といい案が浮かんだ。

 

男がペラペラしゃべり続ける中、私は強引に

「美容院の予約の時間なんでもう行きます(ウソ)」と行って席を立った。

男は面食らったような顔をして「えっ?!ちょ、まってくださいまだ見せていない特別な絵もあるんですよ」と言ってきた。

それで「え?本当ですか?じゃあ見ていこうかな」という人がいると思っているのだろうかこの人は・・・と半ばあきれた感じになってしまい「もう時間なんで~」と押し切った。

すると男は最後に吐き捨てるように「それならそうと最初から言ってくださればよかったのにー!」と言っているのが聞こえたが、私は無視して風のようにお店を抜け出した。

 

そして逃げられたことにほっと一息した後、「ん?」と変に思った。

「なんで絵を見にギャラリーに入っただけで、そこのスタッフに美容院の予約があることを告げなきゃいけないわけ?」

やっぱり普通ではないところだったんだと改めて実感した。

せっかくのクリスマスの幸せが苦い出来事で幕を閉じてしまった。

しかしその場だけで終わったということと、押さえつけられたり脅されたり何人かで寄ってたかられたわけではなかったのが不幸中の幸いだった。

 

私がこの出来事で学んだことは「無料ほど怖いものはない 」ということ。

これ以来私は無料で配っているものには手を出さないようにしている。

 

今日のお話はここまで!明日はこの続きの話を書いていきます。

この話を聞いた知り合いの画家が憤慨する話です。

今日も読んでくれてありがとうございます。