三日月レモンのちょこっとエッセイ

絵や絵本を描いて暮らしています。絵本作家になって作品を作り続けることが目標です。日々の思い、感じたこと、体験したこと、過去のこと、そんな何気ないことを書き綴っていきます。

小さなお話の小箱

ブログ生活38日目

 小さなお話の小箱

f:id:lemon_mikaduki:20181224153906j:plain

 

小学校1~2年生の頃だったろうか。

クラスメイトのある女の子との何気ない、本当に何気ない出来事の話。

 

M子ちゃんとは学校でもそんなに話したり、遊んだりする仲ではなかった。

だからと言って話したことない、遊んだことないというわけでもなかったが、クラスメイトの一人というだけで特別仲がいいわけではなかった。

 

そんなM子ちゃんがある日私にこう言ってきた。

「レモンちゃん。私が行っているピアノ教室ね、レモンちゃんの家の近くなの」

「へー、そうなんだーどこ?」

と私が聞くと、なるほど、近所のお宅の家だとすぐに判明した。

「ピアノのおけいこが終わったら、お母さんが迎えに来てくれるんだけど、それまで時間があるから少し遊ばない?」

と少しもじもじした様子でM子ちゃんが言った。

私は「うんいいよ、遊ぼう」と答えて、M子ちゃんにピアノが終わる時間を聞いておいた。

 

「じゃあまたあとでね~!」

と私たちは初めて一緒に遊ぶ相手に嬉恥ずかしに手を振って学校を後にした。

 

土曜日だったので、私はいったん家に帰ってお昼ご飯を食べ、M子ちゃんのピアノが終わる3時ごろまで家で遊んで、それから時間近くになるとワクワクした気持ちで家を飛び出して、ピアノ教室のあるお宅まで駆けて行った。

ピアノ教室のお宅に着き、しばらく外でM子ちゃんが出てくるのを待っていたが、いつまでも出てこないので、私は勇気を出してそのお家のインターホンを押した。

するとピアノの先生が出てきたので私は「M子ちゃんはいますか?」と聞いたら、

「あら?M子ちゃんはもう終わってここにはいないわよ」と言われた。

 

私はそこら辺を見てもM子ちゃんがいなかったので、もしかしたら早く終わったから私の家に行ったのかもしれないと思って、私は自分の家に引き返した。

ダッシュで帰るとお母さんに「たった今M子ちゃんが来たのよ?!」と言われた。

母は、M子ちゃんに「レモンはM子ちゃんのピアノ教室に行ったわよ」と伝えたらしい。

完全にテレコになっていた。

それから私は再びピアノ教室まで走って行った。

f:id:lemon_mikaduki:20181224175123j:plain

するとピアノ教室の前でやっとM子ちゃんを発見できた。

M子ちゃんもぜぃぜぃと息を切らし、二人でこの近所をぐるぐる走り回っていたことを報告しあい、やっと出会えた嬉しさで笑いあっていた。

 

「わたし、ピアノのおけいこが早く終わったから、レモンちゃん家に迎えに行ったら、おばさんにもういないっていわれて、ピアノ教室に戻ったら先生にさっきレモンちゃんが来たって言われて・・・」

「わたしもピアノ教室の先生にM子ちゃんはもういないって言われて、家に戻ったらお母さんにさっきM子ちゃん来たのよって言われて・・・」

自分たちの行動がおかしくて、おかしくて、二人でケラケラ笑っていた。

 

するとその時、M子ちゃんのお母さんが迎えに来てしまって、M子ちゃんとは遊べずじまいに終わった。

結局M子ちゃんとはそれきり二人で遊ぶということはなかった。

3年生になってクラス替えがあり、別々のクラスになってからは話すこともなくなってしまったが、私はこの出来事を今も鮮明に覚えている。

 

ほんの数十分の思い出だが、あの時M子ちゃんと同じ喜びと少しマヌケな笑いで心が通じ合ったからなのかもしれない。

何気ない、本当に些細な一瞬の出来事だが、私の大切な思い出の一つである。

そうしていろんなことを思い返してみると、記憶に残っていることって、なにもお金をかけたり、時間をかけたりしたものではないことに気が付く。

一瞬でも、気持ちが通じ合った時の喜びはどんな物にも代えられないかけがえのない思い出のように思う。

クリスマスイブの今日、またどこかで誰かの気持ちが通じ合い、喜びに満ち溢れる日になればいいなと思う。

f:id:lemon_mikaduki:20181224155618j:plain