三日月レモンのちょこっとエッセイ

絵や絵本を描いて暮らしています。日々の思い、感じたこと、体験したこと、過去のこと、そんな何気ないことを書き綴っていきます。

この道より、われを生かす道なし。この道を歩く。

ブログ生活50日目

 

最近、谷川俊太郎さんの著書を読んだ。

谷川俊太郎さんといえば日本を代表する詩人であり、他にも絵本作家・脚本家・翻訳家としても有名な方である。

ズバリ言葉のプロ、言葉のスペシャリストである。

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そんな谷川俊太郎さんの著書には、読むにも、書くにも、一筋縄にはいかない才能のなさを嘆くかのような苦悩が書かれてあった。

 つまり自分にはパッと机に向かって、サラサラと筆が走るようなことはないし、サッと書けてしまう作家さんを見るととても落ち込むのだという。

一字一字の語句を生み出すのにも時間がかかり、生来の不器用さがたたって書く行為そのものが遅く、ぐりぐり力が入ってしまいほとほと疲れてしまう…というような内容だった。

 また本を読むということにも恐怖があり、本自身はそこにあるだけなのにそれを開くまでの勇気や行動がなかなか出せない、とつづられてあった。

 

私はこの本を読んで、生意気にも深く共感すると同時に、とても安心して励まされたような気分になった。

こんな有名な方の中に自分と似た点を見つけるなんて、本当に生意気で高慢なことなのかもしれないが、まるで私のことを代弁していると思えるほど、そっくりに同じことを感じていた。

そしてこんな有名な人でも苦悩や自信のなさがあるんだと思うと、なんだかホッとした気分になったのだ。

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だれかの苦悩や悩みを聞いてホッとしたり安心したりするのは良くないことだろうか?

 私は割とある。励まされる。

 例えば「ああ、この人は天才だ」「才能がある人だ」「次元が違うな」と感じている人が、人並みな悩みがあって、ほかの誰かを羨んでいたりするんだと知ると親近感がわく…というのか「同じなんだぁ」と感じる。

 

谷川俊太郎さんの苦悩は、私が絵や文章を書くときに感じている悩みや葛藤そのものだったので、「ああ、こんなに有名なすごい人でも似たようなこと感じているんだな」と思うと自責の念が少し和らぎ、私のようなものの進め方・やり方でもいいのだなと少し自信や勇気がもらえたのだ。

 

私も絵や文がなかなか進まないほうである。

進む時は進む。けど止まると本当に止まる。それを繰り返している。

特に期限付きの仕事や納期や締め切りがある仕事の場合は、終わった後で燃え尽き症候群のようになってしまい、熱が出たり風邪をひいたり抵抗力が落ちてしまうのでほとほと困っている。

コンスタントにリズムよく淡々とこなしていければいいのだが……

淡々と描ける人や「描かなきゃ落ち着かない!」「絵が描きたくてしょうがない!」と思い続けられる人を見るとやはり落ち込む。

私はそうではないからだ。

そういう時にまざまざと自分の才能のなさをつきつけられ、本当にこの道でいいのかという葛藤に苛まれる。

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タフな人が本当に羨ましい。

淡々とこなせる人、いつでも創作することに幸せと喜びを感じれる人が羨ましい。

けれど羨ましがっていても自分はこの性格と性質と付き合っていくしかないのだ。

そういった意味で自分の声を聞く、何を欲して何をしたいのかに気が付く、そしてそれを満たすことが大切なのだと思う。

 

自分の道、この道、目指すべき場所。

私にはこの道をうまく歩ける手段も、器用さも、道具もない。

けどそこへ行ってみたい。

苦悩や葛藤、嫉妬や自分へのやりきれなさを抱えながらも向かうべき場所にたどり着き、今なお高みを目指されている谷川俊太郎さんの著書を読んでそう感じた。 

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