三日月レモンのちょこっとエッセイ

絵や絵本を描いて暮らしています。日々の思い、感じたこと、体験したこと、過去のこと、そんな何気ないことを書き綴っていきます。

絵は無料で当たり前?!

ブログ生活83日目

 

絵を描いている人、音楽を作ったり歌ったりしている人、舞台で演じる人、お皿を作る人、人形を作る人、家を作る人、デザインする人…

挙げればきりがないが、いわゆる「物作り」をしている人がこの世にはたくさん存在している。

生みだされた創作物、商品は個々の技術・経験・時間と想いをかけてきてできた結晶である。

そこに価値を見出した人が金銭で購入して初めて商売や仕事として成り立つことができている。

 

ところが最近、イラストやデザインのプロの先生方からこんな話を聞いた。

「最近は金銭が支払われないケースや、商品を納品後に連絡が取れなくなるケースが増えている」

「プロに頼むと何万とかかるけど、同じような絵を描ける素人なら数千円、もしくは無料で引き受けてくれると言われ仕事の依頼が減った」

というものである。

まったく同じ話が、某テレビ局の特集で取り上げられていた。

「プロに頼むと数万のところがアマチュアだと同じようなもので数千円で済む!」

というのを良いこと、ラッキーとした意味合いで放送し、後にイラストを生業としている人々から抗議の電話が殺到したという。

 

私はこれは絵画やイラストに対する価値が低い日本だけのことかと思ったらそうではなかった。

イギリスのバーミンガム在住のジョン・アートンさんはプロの画家として活躍している方だが、週に2~3回は「無料で描いて!」という依頼のメールがくるのだという。

その理由もただ単に「お金がないの。でもあなたの絵がほしい」というのだという。

ジョン・アートンさんはあまりにも多い無料での申し出にうんざりして、策を講じてそういう人には、テキトーに書いた棒人間のような落書きだけを提供したそうだ。

「特殊技能だ タダじゃやらない(If you’re good at something never do it for free)」

というメッセージと共に。

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私は、依頼された絵やイラストに対して対価が支払われない、もしくは当たり前のように無料で依頼することが、それが先生クラスの人や、名前の知れた画家にまで及んでいると知って本当に驚いている。

大工さんに「お金がないから無料で家を建てて」となるだろうか?

陶芸家の人に、音楽家に、デザイナーに、洋裁師に・・・1からものを作る人に「無料で頼みたい」と考えるだろうか?

それとも絵やイラストだけがそのように軽視されるのだろうか? 

 

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あんまり金銭のことを言いたくないのですが、先生や有名な人の領域にまで及んでいると知って、学んでいかなきゃいけないこと、守っていかなきゃいけないことを痛切に感じています。 

 

「安売りはするな」

先生に言われたことがずっと頭に残っています。

それは自分の作品を守ることと同時に、イラストや絵画を描く多くのイラストレーターや画家さん達みんなの価値を守ることにもなるからです。

もちろんそのためには自分の技術も、思いも深めていく必要がある。

そしてよい取引相手を選べるようにならなければならない。

言葉に惑わされないよう、しかし疑いすぎて凝り固まったり融通が利かない人間にならないよう・・・なかなかバランスや見極めが難しい世界です。

一長一短にはいかないことですが、失敗をしながら、やり取りを経験しながら、自分も、お相手にもいいご縁だったと言えるように励んでいかなければ……と思う今日この頃なのでございます。

 本日も読んでいただきありがとうございました!