三日月レモンのちょこっとエッセイ

絵や絵本を描いて暮らしています。日々の思い、感じたこと、体験したこと、過去のこと、そんな何気ないことを書き綴っていきます。

自分の絵を探す旅⑦最終章 19歳の時の絵と旅の終着

ブログ生活113日目

 

※今回のブログは前回の「自分の絵を探す旅⑥砂の仮面」の続きとなっています。

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専門学校に入って間もないころの絵本作品のラフ

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専門学校の卒業制作で描いた絵本の一部

冒頭から妙な絵をお見せして申し訳ないのだが、どちらも専門学校時代の作品だ。

上が1年生の時、入学して間もないころに描いた絵。

下は2年生の卒業制作で描いた絵本の中の一部の絵。

私が「自分の絵を探す旅」シリーズで語ってきた話が一見にしてお分かりいただけるものではないかと思って掲載することにした。

今改めて見ると当時の自分の心情を思い出すので複雑な気持ちになる。

上の絵はまだ自分が穢れのない真っ白なものだと信じていた頃。

空想の世界が大好きで、ファンタジーが大好きで、メルヘンが大好きで、ドラゴンがいたらいいなーとか、雲の上にお城があったらいいなぁ―とか、動物がしゃべりできたらいいなーとかばかり考えていた頃。

下の絵は自分の内面というものを知り、ネガティブな部分、汚い感情、醜い思考に葛藤と戸惑いで苦悩していた頃。

人には裏の顔がある、ニコニコしながら人を裏切れるんだ…欲のためにどうにでも化けられるんだ、大人は子供のカラフルを黒で塗りつぶすんだ…人は…人は…とそんな考えや気持ちで頭がいっぱいだった頃。

見ていただけたらお分かりになるかと思うが、当時は人物ばかり描いていた。

色使いも白か黒といった極端なものばかりである。

人間が怖かった。とにかく人間が怖かった。

通りを歩く人みんながニヤニヤした仮面をつけて、その仮面をとると顔のない真っ黒なものが現れるような恐ろしさみたいなものを感じていた。

そんな恐怖や、どこにも持って行きようのない思いを絵にして吐きだしていた。

心の中ではとても抱えきれなかったから、あの時は絵に描くことで救われていた気がする。

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私が好きで浸っていたいきれいな世界と、私の中に存在する暗い世界とが混在していて、必死におぼれないようにもがいていた。

逃げ続けても決して離れない影の存在に怯えていた。 

しかし、私はどんなに暗い気持ちで絵を描いていても、「必ず一筋の光があるはずだ…」「真っ黒の砂漠の中にでもたった一粒の金の砂があるはずなんだ…」と最後は希望の場面を描いた。

そういった気持になるのは、私が持って生まれたありがたい部分であると思っている。

誰かご先祖様の中に希望が好きな方がいたか、前向きで明るい人がいらっしゃったのだろう。

昔からそういった私の性質以外の何かが心に存在しているのを感じている。

最後の砦のような灯台があるのを感じている。

DNAとか、血とか、ご先祖様とかたぶんそんなものだと思う。

私の気持ちや心が「苦しい、辛い、逃げたい、やめたい」と思っていても、私以外の力がいつも立ち上がらせてくれる。

これは本当に不思議な感覚で、まるでパーリーピーポーなご先祖様が一瞬だけ乗り移ってくれるような感覚なのだ。

その時はフッと軽くなって、落ち込みが嘘のようにパリッと切り替わり、「ようし!描くぞ!」とメキメキ力が湧いてくる。

この切り替わり様は憑依したとしか思えないほどなのだ。

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きっとこんなご先祖様なのだろう・・・

「最後は光」

これは私の今後の制作活動においても大きなキーワードの一つになることだけは確かだし、私はそういうものを描きたいと切望している。

私が現在描いている絵を客観的に見ても、夜空の中の星や月を描くのも、飛び上がる天使や天馬や鳥たちを描くのも「希望」が根底にある。

無意識なようだが、「自分を知り絵を描く」のではなく、「絵から自分を知る」ということに改めて気づかされる。

自分の心にもない絵は描けない、思ってもないことは表現できない。

このシリーズの初めの冒頭で述べた「今の私の絵はなんだか自分の絵じゃない気がしている」と感じていた気持ちが薄れていくのを今感じている。

その時々の心情で描きたいものやあふれ出るものが違うだけで、どの絵もその時の自分自身なんだと再確認することができた。

空想が好きで、ファンタジーが好きなのも自分自身。

怖くて、焦って、不安で、暗い気持ちなのも自分自身。

そんな白と黒の極端思考なこれまでの自分に、今回客観視しながら書いたブログで少しグレーを見つけられたかなと感じている。

 どちらも大切。

どちらも必要。

光を描くには陰の力が絶対的だからである。

・・・どうやらここが私の今回の旅の終着点のようだ。

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・・・エピローグ

前回のブログの最後に1年生の後半で急速に仲良くなったWさんの話を書く予定でしたが、以前「半分前向き、半分後ろ向きでいい」というタイトルでWさんの話を描いていたので、重複するため今回は割愛させていただきます。

気になった方は「半分前向き、半分後ろ向きでいい」を読んでみてください。

7回にもわたり読んでくださった方、本当にありがとうございました!

過去の自分を振り返って書いていく中で、自分の描く意味、テーマみたいなものを再確認することができました。

また迷った時このブログを見返そうと思います。

私の個人的な回想にお付き合いいただきまして本当にありがとうございました。

これにて「自分の絵を探す旅」、いったん終了とさせていただきます!

ありがとうございました!