三日月レモンのちょこっとエッセイ

絵や絵本を描いて暮らしています。絵本作家になって作品を作り続けることが目標です。日々の思い、感じたこと、体験したこと、過去のこと、そんな何気ないことを書き綴っていきます。

大学時代⑥統合失調症を抱えた利用者さん

ブログ生活30日目

 

今日は大学時代シリーズの続き第5話目である。

第4話目ではアルコール依存症のZ病院で2週間の実習を終えた話を書いた。

そして今日はもう一つの実習先の「K就労・自立生活支援事業所」での話である。

 

前回も書いたが、Z病院での実習をこなした安堵感と、実習の流れを多少なりとも経験した慣れから、K事業所(イニシャルは関係ありません。仮名です)での実習は、Z病院で感じていたほどの半分も緊張や不安を感じてはいなかった。

 

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写真はイメージです

このK事業所の行う業務とは、精神病(主に統合失調症)の患者さんの就労への支援や、自立した生活が行えるようにサポートをすることである。

入院期間が長い患者さんたちは就職のことや、生活の知識を知らないことが多く、いざ退院しても仕事や日常生活に困ることが多いため、支援事業所に通所して就労までの支援や、自立した日常生活が送れるような支援をしている。

精神病院だけにとどまらず、こういった機関での仕事も精神保健福祉士の仕事なのである。

 

K事業所では、就労支援と自立生活支援の2班があり、日中はそれぞれの班でそれぞれの活動を行う。

事業所により異なると思うが、私のいた事業所の就労支援では、自分たちの手で作った商品を市役所や施設やバザーなどで販売していた。

精神保健福祉士が付いてはいるが、販売までの準備やお金の管理、お客様に売ったり、説明するのも基本的にはすべて本人たちが行う。

そこからさらに進むと、障害や体調に合わせて企業やお店などで工賃をいただきながら軽作業などの就労訓練を行うようになっていく。

 

もう一つの自立生活支援では、事業所内で精神保健福祉士が日常生活の知識を利用者さんとともに勉強する。

掃除の仕方、買い物の仕方、衣替えの仕方…など生活のことすべてなので多岐にわたる。

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ざっくり説明するとこんな支援を行っていた。

(8年前の就労支援・自立生活支援の内容なので今は制度や体制が変わっているかもしれません。あくまで当時の内容として認識していただければと思います)

 

実習初日、アットホームなこじんまりした事業所に到着し、所長と3人の精神保健福祉士の職員の皆様に挨拶をした。

所長も職員の方もみんな優しくニコニコで、「ああ、いい実習先でよかった」とこれからの2週間がとても楽しみになっていた。

 

9時ごろになると利用者さんも次々に来所して、所長が新しい実習生として私を利用者さんに紹介してくれた。

 

利用者さんは全員統合失調症を患っている方たちだ。

現在は症状が落ち着いており、入院の必要もなく、みなさん普通の日常生活を送っている。

この事業者に来て私個人が利用者さんに感じたことは、「頭のいい人が多い」ということだ。

というか、頭のいい人ばかりだった。

誰もが知る名門有名大学出の方、大手の研究機関で働かれていた方、休憩時間にはフランス語の勉強をしている方、オセロの名人など何かに突出している方が多かった。

利用者さん同士の会話も頭の良さや回転の速さを感じずにはいられなかった。

私はまるで学者や研究者の中にまぎれた子供のような気分だった。

 

初めの1週間は就労支援組のほうについて実習させてもらった。

一緒に手作りの商品を市役所の一角に販売しにいき、その様子を見学していたが、皆さんなんの手助けもサポートもいらなかった。

病気はもう落ち着いているので普通の方と何ら変わりないし、本当に病気があったのかと思うほどであった。

お客さんにもきちんと接客し、販売トークは私なんかよりずっとうまかった。

 

そして次の日は、飲食店に就労訓練しに行っているRさんに同行し、精神保健福祉士のA先生と共に仕事ぶりを見学しにいった。

そこは事業所から徒歩15分くらいのところにある居酒屋さんで、開店前の掃除をするのがRさんの職業訓練の内容だった。

初めに体調や気分をA先生がカウンセリングし、OKが出るとRさんの仕事がスタートした。

 Rさんは手順通りに掃除をはじめた。

いすや机を一つ一つ丁寧に拭き、這いつくばって床を磨き、光るほどにトイレを洗い、汗を流しながら一心不乱に窓を拭き、階段、柱、カウンター、すべてを一生懸命に掃除していた。

 

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写真はイメージです

私はRさんの一生懸命に働くその後姿に涙が溢れて泣きそうになるのをグッとこらえていた。心から感動していた。

人が働く姿をこんなにじっくり見たことなかったので、なんて素晴らしいんだろうと感無量になっていた。

パワーや元気をもらえた気分だった。

 

掃除が終わってから、A先生によって再びカウンセリングが行われた。

今日はどうだったか、どんな気分だったかということをRさんに確認していた。

A先生は話を私にもふってくれ、同行してみてどうでしたかと聞かれた。

私は感じたことをそのままいうか悩んだが、Z病院で自己覚知を学んだことを思い出し、「一生懸命に働くRさんに感動しました」と素直に感じたことを伝えた。

するとA先生もRさんも喜んでくれ、A先生は「Rさんよかったね!三日月さんが感動したって!」と笑みを浮かべていた。

Rさんは少し照れているような様子だった。

 

後に、A先生が「三日月さんに感動したって言ってもらえてRさん自信がついたって僕に言ってきたんだよ」って教えてくれた。

言おうかどうしようか迷っていた気持ちを思い切って素直に言ってよかったなぁと感じた瞬間だった。

「言わなきゃ伝わらない」とはこの時に学んだことだったのかもしれない。

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今日はここまでにします。

明日は生活自立支援班の講義を担当することになった話を書きます!